「外国人整備士を雇いたいけど、手続きが面倒そう…」
「言葉の壁ってやっぱり大きいのかな?」
そうした疑問や不安を抱えている整備工場の経営者も多いのではないでしょうか?
外国人雇用は制度が多岐にわたり、最初の一歩を踏み出すのに勇気がいります。本記事では、自動車整備業界の視点からよくある質問とその回答をまとめました。
この記事で分かること
- 外国人雇用にかかる費用や制度の違い
- 言語や文化への対応策
- 実際にうまくいっている整備工場の事例
Q1. 外国人を雇うにはどのくらいの費用がかかりますか?
A: 制度によって異なりますが、年間約100〜150万円が一つの目安です。
外国人雇用にかかる費用は、採用ルートや在留資格の種類によって大きく異なります。
| 制度 | 採用ルート | 初年度目安コスト(1人あたり) | 内訳例 |
| 技能実習 | 監理団体経由 | 約100〜150万円 | 手数料、渡航費、講習・試験費、寮費など |
| 特定技能 | 直接採用または支援機関経由 | 約80〜130万円 | 支援機関費、更新手続き、生活サポートなど |
| 技術・人文知識・国際業務(技人国) | 専門家など | 約50〜100万円 | 通訳・翻訳、就労ビザ取得費用など |
ポイント:
- 上記に加えて、毎月の給与・社会保険料・福利厚生コストも発生します。
- 長期的にみれば、離職率が低く定着率が高い人材はコスト以上の価値を生みます。
- 複数人を同時に雇用し、共同の寮などを活用することで、一人あたりの費用を抑えることが可能です。
関連情報:【初心者向け】外国人雇用の全体像が5分でわかるガイド
Q2. 日本語はどれくらい通じるの?
A: 多くの外国人は日常会話程度の日本語が話せますが、専門用語や安全指示は工夫が必要です。
特定技能制度では「日本語能力試験(JLPT)N4以上」が求められます。N4は「基本的な日本語を理解できる」レベルです。
外国人技能実習制度における実習生の日本語レベルは、個々の学習意欲や学習時間、配属先の業務内容、受け入れ企業のサポート体制などによって大きく異なります。
一般的に、入国前の日本語学習の有無や期間によって差があり、入国直後は日常会話も難しいレベルの方から、ある程度コミュニケーションが取れる方までさまざまです。
どちらの制度の外国人であっても、実用的なコミュニケーション能力は不足していることがほとんどです。しかし、日本での経験を通じて着実に日本語能力は向上していきます。
現場での工夫例:
- 技術用語は【ピクトグラム(図解)】や【写真マニュアル】で補足
- 指示は【簡潔な言葉】で何度も繰り返す
- 【翻訳アプリ】【LINEの音声翻訳】などICTを活用
実際の取り組み事例:
ある整備工場では、整備マニュアルを母国語(ベトナム語・ミャンマー語)に翻訳し、業務定着率を30%改善しました。
Q3. 支援はどこまで必要ですか?
A: 外国人材には生活・労務の両面での支援が不可欠です。
特に来日直後の支援は離職防止の鍵です。
必要な支援項目(例):
- 生活面
- 行政手続き(住民登録・保険加入・銀行口座)
- ゴミ出しルール、交通マナー、病院の使い方
- 業務面
- 明確な業務指示、報連相の練習
- 翻訳ツールの活用
- 相談しやすい環境づくり(メンター制度など)
負担軽減の方法:
特定技能制度においては、サポート体制の充実した「登録支援機関」の活用が重要です。一方、技能実習制度では、「監理団体」の適切な選定が必要不可欠です。
いずれの場合も、外国人の生活支援を外部に委託することが可能になるので雇用主や企業の負担を軽減し、円滑な受け入れや定着を促進できます。
ただし、登録支援機関や監理団体によってサポートの内容は大きく異なるため、自社に合った選定をすることが重要です。
Q4. どの制度を選べばいいか分かりません…
A: 自社の採用目的・期間・業務内容によって選ぶ制度が変わります。
| 制度名 | 対象職種 | 主な特徴 | 雇用期間 |
| 技能実習 | 自動車整備 | 技能移転が目的。段階的に技能を習得。 | 最長5年(実習1〜3号) |
| 特定技能1号 | 自動車整備(分野認定あり) | 即戦力人材の受入れが可能。支援義務あり。 | 最長5年(2号に移行可能) |
| 特定技能2号 | 熟練作業者(要審査) | 永続的雇用が可能。家族帯同可。 | 無期限更新可 |
| 技術・人文知識・国際業務(技人国) | 設計、翻訳、海外対応など | 大卒以上向け。高い専門性が必要。 | 無期限更新可 |
選定のポイント:
- 育成目的 → 技能実習
- 即戦力・長期雇用 → 特定技能 or 技術・人文知識
関連情報:整備士の外国人雇用制度を徹底解説|技能実習・特定技能の違いと活用ポイント
Q5. 実際にうまくいっている工場ってどんなところ?
A: 成功している工場は「受け入れ体制」がしっかり整っています。
成功事例に共通する特徴:
- 専任の受け入れ担当者を配置
- 日本人社員に対する「異文化理解研修」の実施
- 採用前に現地で面接+家族への説明会
- 入社後も定期面談・キャリア相談を実施
- 地域との関係構築(自治体や日本語教室との連携)
成功事例の紹介
埼玉県のある中小整備工場では、ベトナム人3名を特定技能で雇用。地域の消防団に参加し、地元との結びつきも深めながら、3年連続で離職ゼロを継続中。
Q6:契約はどのように結ぶべき?
A: 契約内容は母国語で丁寧に説明し、相互理解を図ることが重要です。
契約時の基本ポイント:
- 契約書は 「日本語+母国語併記」
- 通訳者または支援機関を通じて【説明会】を開催
- 内容理解の確認書(チェックリスト)を作成
トラブル事例:
休日・残業代の説明が不十分で、1年以内に離職したケースあり。
対策
- 雇用契約の内容は「書面+口頭+チェックリスト」で三重管理
- 誤解が発生しやすい点(給与・住居・保険)を重点的に説明
Q7:家族帯同は可能?

A: 条件を満たせば可能です。制度によって異なります。
| 制度 | 家族帯同の可否 | 備考 |
| 技能実習 | 不可 | 一時的就労のため |
| 特定技能1号 | 原則不可 | 永住目的ではない |
| 特定技能2号 | 可 | 配偶者・子供の帯同が可能 |
| 技術・人文知識など(技人国) | 可 | 配偶者ビザの取得可 |
ポイント:
長期的に働いてもらうなら「特定技能2号」や「技人国ビザ」への移行を検討しましょう。
Q8:突然帰国されたら?
A: 技能実習の場合は監理団体、特定技能の場合は登録支援機関(委託している場合)との連携が不可欠です。
- 事実確認と状況把握
- 関係行政機関への届出
- 本人への連絡と意思確認
- 雇用契約・社会保険などの手続き
- 住居(寮など)の処理など
また、原因の分析と再発防止策を検討することが重要です。
よくある原因:
- 家族の病気や不幸
- 帰国命令(本国政府)
- ビザ更新の遅れ
備えるべきポイント:
- 連絡先リストの整備
- 緊急時マニュアル(支援機関と共有)
- 複数人の体制(特定の作業を1人に依存しない)
企業事例:
ある整備工場では、外国人の緊急帰国時に備えて、当該業務に対応できる人材派遣会社をあらかじめ選定しています。
Q9:定着率を上げるには?
A: 人間関係と自己成長を実感できる環境がカギです。
外国人労働者離職理由の上位
- 「上司のマネジメント・指導に対する不満」(42%)
- 「業務内容のミスマッチ」(34%)
- 「給料が安い、残業代が支払われない」(31%)
- 「職場の人間関係に対する不満」(31%)
出典:ITmedia 日本で働く外国人の早期離職率は28%、理由は?
定着率アップの工夫:
- 管理職向けに外国人向けマネジメント研修を実施
- 就業規則や給与体系などを外国語でも説明書きとして整備
- 評価制度を導入し、定期的に面談でキャリア目標を共有
- 異文化交流や相談の場を設け人間関係を強化
外国人従業員が「働きやすい」「理解されている」と感じることが、結果として定着率の向上につながります。
Q10:宗教・文化の違いで注意点は?
A: 小さな配慮が信頼関係の土台になります。
配慮が必要な主な項目:
| 宗教・文化 | 必要な配慮例 |
| イスラム教 | お祈り時間・断食期間・豚肉NGなど |
| 仏教圏 | 肉食忌避、死生観の違い |
| キリスト教 | 日曜・クリスマス休暇など |
取り組み事例:
- 食事面は「選択肢の提供」:社員食堂でハラールメニュー※導入
- 年中行事に配慮:宗教行事に休暇取得を許可
※イスラム教徒(ムスリム)がイスラム法(シャリーア)の規定に基づいて、食べることが許されている食材や調理法で提供される料理のこと。
重要な心構え
異なる文化を「受け入れる」ことが、真の多様性対応です。価値観の違いを理解しようとする姿勢こそが、信頼構築の第一歩です。
まとめ|外国人雇用は“準備が9割”、成功のカギは受け入れ体制
外国人材の雇用には、制度選びやコスト、文化理解といったハードルがある一方で、それを上回る「人材確保」「多様性のある職場づくり」「長期的な戦力化」といった大きなメリットがあります。
本記事で紹介したQ&Aのとおり、外国人を雇うには事前の準備が非常に重要です。
ポイントをおさらい
- 制度ごとの違いを理解し、自社に合った人材を選ぶこと
- 契約、生活支援、文化対応など、多面的な受け入れ体制を整えること
- 支援機関や翻訳ツールを活用し、無理なく運用すること
- 定着・戦力化には「人として迎える」姿勢が最も重要であること
中長期的に人手不足を解消したい、自社の技術を継承していきたいと考える整備工場にとって、外国人雇用は有力な選択肢の一つです。
「何から始めていいか分からない」という方は、まずは制度の違いと支援機関の利用方法を知るところから始めてみましょう。



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